企業が運用するホームページは、会社案内や求人、ECなど開設の目的・役割に合わせて、設計やデザイン、機能、システムを変えていく必要があります。
求人であれば「応募」、ECであれば「販売~決済」という風にゴールが異なるため、サイト制作会社やデザイナーに依頼する際にも「制作の目的」を必ず聞かれることになります。ホームページの新規作成、ホームページのリニューアルを検討することになった場合は、まず目的や対象を明確にした上で進めていきましょう。
このページでは、「通信利用動向調査報告書」などのデータを用いながら、ホームページの開設目的のあれこれ、目的や役割、対象ターゲットに合ったホームページの種類、制作する際のアドバイスや注意点をご説明いたします。これからホームページを作ろうとしている企業、作ろうかどうか迷っている企業向けの内容で進めていきます。
まずは、総務省の通信利用動向調査報告書(企業編)のデータをもとに、「ホームページの開設目的・用途」をみてみましょう。
調査結果によると、最も多いのは「会社案内、人材募集」で 93.7%となっており、次いで「商品や催物の紹介、宣伝」(67.1%)、「定期的な情報の提供」(46.9%)となっています。
このデータは複数回答なので、やはりオーソドックスに「会社案内、人材募集」として開設した企業が多くなっていることがわかります。
1位 会社案内、人材募集 | 93.7% |
2位 商品や催物の紹介、宣伝 | 67.1% |
3位 定期的な情報の提供 | 46.9% |
4位 申込や届出の受付 | 16.6% |
5位 電子公告、決算公告 | 11.3% |
6位 消費者の評価・意見の収集 | 9.4% |
7位 その他 | 2.5% |
8位 無回答 | 0.4% |
1位 会社案内、人材募集、2位 商品や催物の紹介、宣伝、3位 定期的な情報の提供となりました。それぞれの回答についてもう少し詳しく説明してみましょう。
1番目の、「会社案内、人材募集」は、もっとも多く、90%以上の企業が「開設目的」に回答しています。一番重要です。
会社案内パンフレットに載せている情報を、そのままホームページにも移植するようなイメージです。
会社概要やシンプルな商品紹介、採用情報、お問い合わせなどを載せます。
2番目は「商品や催物の紹介、宣伝」でした。ホームページを会社案内として使用するのだけではなく、「自社商品の宣伝」と考えている企業が、7割近くいます。「事業紹介」「サービス紹介」をもっと詳しく、ていねいに紹介をしていくケースです。「製品紹介」からさらに一歩進めて、「販売と決済」をおこなうネットショップも比較的簡単に導入できます。
企業は自社の商品やサービスを販売して、利益を得ることで成り立っています。本質的なことですが、自社の商品をどうアピールしていくかはとても大事なことで、「コーポレートサイトの製品・サービス紹介ページ作成で重要なこと」にてご説明していますので、あとでご覧下さい。
3番目には、約版数の人が「定期的な情報の提供」と回答しました。
定期的な情報の提供とは、ホームページ上でのお知らせや施工事例、納品事例、事業報告などにあたります。
CMS(コンテンツマネジメントシステム)などを用いれば、企業側でも簡単に情報更新ができるようになっていますので、「定期的な情報の提供」で顧客との関係を発展させていくのに一役買っていることがわかります。
4番目は「電子公告、決算公告」でした。これは主に上場企業の回答でしょう。各種公告の手段として新聞や官報に掲載せざるを得なかった時代に比べると、ホームページに掲載することで費用、時間の面で雲泥の差があります。
5番目以降は、「申込や届出の受付」「消費者の評価・意見の収集」「請求や利用明細の通知」「アンケート調査」となっています。
これらはこれまで人海戦術でコールセンターや郵送、電話でおこなっていたものです。通信コストの安さ、スマホなど端末の普及などによって、大勢のユーザーや取引先に対して、質の高いサービスを低コストでおこなうことが可能になっています。
このように多くの企業では、ホームページを会社案内や求人、商品の紹介に使っていることがわかります。
ただ近年はSNSの普及、ウェブテクノロジーのいっそうの発展で、開設目的、活用方法も多様化、細分化しています。
続いて、先ほどの総務省データをさらにウェブ制作会社側のからもう少し具体的に掘り下げてみましょう。
企業が運用するホームページは、会社案内のため、求人のため、EC(ネット販売)のためなど、その目的・役割に合わせて、設計やデザイン、機能、システムを変えていく必要があります。
求人であれば「応募」、ECであれば「販売~決済」という風にゴールが異なるため、サイト制作会社やデザイナーに依頼する際にも「制作の目的」を必ず聞かれることになります。
制作者は、依頼者がどのような目的のホームページを希望しているか、を明確にして、実際の制作工程に落とし込んでいく作業をおこないます。
「目的・対象によって異なるホームページの種類(タイプ)」の説明のように、これらは有形の「製品」のように明確に機能が分かれているものではありませんので、なんとなく双方が合わさったパターンもよくありますし、はっきり分けることが難しいケースもあります。まずは自社が考えているホームページの種類はどういうものなのかを掴んでいただくといいでしょう。
まずはもっとも一般的なコーポレートサイトです。会社案内や商品紹介を中心としたホームページのことで、多くの企業では最初に作ります。
サイトの対象者は、新規のお客様、既存のお客様、取引先、従業員、求職者など企業が関わる多くの人を対象にしています。
載せるコンテンツは紙の会社案内パンフレットに載せる内容をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
これは特定の商品やサービスに関する情報をのせたサイトです。
これはソニーなど大手企業をイメージするとわかりやすいでしょう。同社には企業サイト以外にも多数のサービスサイトがあって、たとえばスマホの「Xperia」サイト、ゲームの「PlayStation」サイトなどです。
サービスサイトは、内容を特定の製品やサービスだけに絞り、その製品が持つ魅力や世界観、機能、仕様、同業他社との比較などを詳しく、ていねいに説明していきます。
文字通り、求人に特化したサイトで、これも多くの企業(特に人材採用に力を入れている企業)では、別に立ち上げることが多いケースです。
別に作る理由はターゲット(対象)がまったく異なるからです。
コーポレイトサイトの対象はステークホルダー全般、サービスサイトは主として利用者、購入者なのに対して、リクルートサイトはほぼ学生の一択です。そこからビジネス(販売)に結びつけるわけでありません。そのためデザインも文章も学生向け、そしてハードルを低くして、普段笑わない社長もリクルートサイトだけは笑っています。
そのほかにも、広告の受け皿(遷移先ページ)として使う「ランディングページ」、「ECサイト(ネットショップ)」、期間限定のイベントで立ち上げる「キャンペーンサイト(期間限定)」、自社や製品、サービスのファンを増やすための「オウンドメディア」、利用ユーザー向けに詳しいヘルプ情報を載せた「サポートサイト(ヘルプシステム)」、企業やサービスのブランド、価値観だけをアピールする「ブランドサイト」などがあります。
自社が立ち上げようとしているホームページの多くは「コーポレイトサイト(企業サイト)」だと思いますが、制作者との打ち合わせ、コミュニケーションを進める際に、「企業サイトだけど、求人に寄せたサイトにしたい」「ECサイトのシステムの中に企業情報を入れてしまいたい」など、具体的な要望を伝えるとよりスムーズに進むでしょう。
目的別 ホームページの種類は、「目的・対象によって異なるホームページの種類(タイプ)」に詳しく載せていますので、このあとでごらんください。
一般的な中小企業がホームページを作成する場合は、まずは上記の「コーポレイトサイト(企業サイト)」からスタートすることが大半ですが、企業によっては「会社案内は少しでサービス紹介を多く」や「商品の販売だけで良いのでECサイトを」などのケースも多くあります。
自社のホームページ開設の目的と役割別ホームページの種類をおおまかに理解しておくだけで、このあとの制作会社との打ち合わせをスムーズにいくはずです。
特にスマートフォンの普及とコロナ禍の影響で、企業Webサイトの重要性は以前より増しています。現在のホームページからの問い合わせが少ない場合はなるべく早く見直しをしてみましょう。
続いて、次のページの「ホームページ作成公開に必要なものと進め方」では、実際にホームページを作ることなった場合に必要なものと進め方を詳しく説明していますので引き続きご覧下さい。
またスマートフォン普及時代のホームページの重要性について知りたい方は「ホームページが重要な理由」、すでに業者選定の段階に入っている方は、「ホームページ制作会社の選び方」で制作会社の選定ポイント、注意点をご紹介しています。