ホームページ管理会社・運用委託先の選び方
新型コロナウイルスの流行によってリモートや在宅勤務、決裁フローの変更、取引先との受発注フロー、顧客サポートなど、私たち企業の業務フローのあり方は大きく変わってきています。コロナ収束の見通しはたたず、各企業も事態の推移を見守っている状態ではありますが、ウィルスのみならず大きな地震や自然災害時にも業務が寸断されることがないように「社員がどこにいても業務を遂行できる体制」への取り組み、自社のウェブサイトやウェブサービス、アプリケーション、クラウドを活用した連携は今後必要不可欠になるでしょう。社会は大きな転換期を迎えています。
「ウェブサイトで業務効率化~まずは自社ホームページの見直しからスタート」でもご紹介させていただきましたが、ホームページの重要度が増すのと歩調を合わせて、ホームページ管理会社・運用委託者の存在も重要になってきます。
このページでは自社のホームページの運用管理(サーバー、コンテンツ保守)の会社を選ぶにあたっての注意点やポイント、見極め方といったことに焦点を当ててご説明いたします。テーマは「ホームページ管理会社・運用委託は「実績」と「信用」のある会社を選びましょう」です。
ホームページ管理会社・運用委託者の存在が重要
ホームページの重要度が増すのと歩調を合わせて、管理会社・運用委託者の存在も重要になってきます。「管理会社・運用委託者」とは、ホームページ公開後の運用や更新、修正を担当している会社のことです。
一般的には、ホームページを作った会社が保守管理も継続して担当していることが多いのですが、管理だけを別の会社に依頼しているケースや、自社の社員・スタッフだけが管理しているケース、管理者不在で何となくそのまま来ている会社もあります。
簡単文字や画像の修正など日常的な更新などはサイト管理会社にわざわざ依頼せずに自社社員がおこなう方がむしろ良いのですが、特にワードプレスの場合は、コンテンツ、コアシステム、ウェブサーバー、データベースサーバーが密接に繋がっており、もしトラブルが起きた時に原因がコアシステムなのかサーバーなのか判断がつかない、ということがよくあります。ハッキングやサイトの改ざんになるとプロに任せないと難しいです。
その時になって急に、管理会社・運用委託者を探しても、なかなか条件に合う会社が見つからず、時間ばかりが経って、1ヶ月もホームページは壊れたまま、ということになりかねません。もし社内にワードプレスのシステムやサーバーの得意な人がいない場合は、早めに管理会社・運用委託者を探しておくことをおすすめいたします。その場合のホームページ管理会社は、ウェブサイトとサーバーの両方に精通している会社に委託しておくのが望ましいでしょう。
それではホームページ管理会社とはどのような業務を請け負っているのでしょうか。ここではホームページ保守管理の主な業務をご紹介いたします。
一般的にホームページの運用に必要な作業は、コンテンツ&デザインを管理する 「ホームページ保守管理」とハード or クラウド関連を管理する 「サーバー保守管理」 の2種類があります。
「ホームページ保守管理」では、お客さまのホームページ、ワードプレスサイトの情報更新やページ追加などの業務のほか、プログラムのカスタマイズ、運用アドバイス、ハッキングや不正アクセスなどのトラブル対応、WordPressやプラグインのバージョンアップデートなどが主な業務になります。
「サーバー保守管理」はホームページを収容するサーバーの管理です。
ウェブサーバー、メールサーバー、データベース、DNSサーバー、バックアップサーバーの運用と障害時の対応、SSLサイト暗号化などの安定運用、サーバーセキュリティ対策、契約更新業務などが主な業務になります。
また管理会社によっては、SEO(検索エンジン上位表示対策)、Googleなどの広告、アクセスデータ解析・分析などもおこないます。
※ちなみに弊社の場合は「ホームページ保守管理サポート」が業務内容になります。
ホームページの初期制作と運用管理では求められる能力が異なる
ホームページ制作業務は、「初期制作で求められる能力」と公開後の「サイトの管理・運用(修正、更新、追加など)」では求められる能力が異なります。
弊社でも人材募集時には応募者の能力、スキルを十分に意識した上でスタッフの配属を決めています。
ホームページ初期制作、リニューアルの場合は、何も無いところから作り上げて、申込者の希望するデザインや機能、閲覧者にとって見やすく使いやすくする能力が求められます。
具体的には、申込者と技術者の間に入って要望を具現化する能力、サイト全体を設計する力、(今風の)デザイン力、使いやすいユーザーインターフェイスを構築する力、CMSなどを使いやすくするプログラム能力など、他にも多数ありますがこれらが主な点です。
一方、ホームページの運用管理の場合は、サイト所有者の要望や不満を聞き取り解決する能力、サイト全体の構造を理解した上でサイト所有者の希望するデザイン修正やプログラム修正に柔軟に対応する能力、トラブル時にサーバーとコンテンツの問題を見分けて適切に処理できる能力、アクセスアップや販売増、問い合わせ増などマーケティング・経営者の視点などが求められます。
大きなポイントとしては「ホームページ」「ワードプレスなどのシステム」「サーバー」の3つについておおまかでも良いので理解をしている必要があります。
更新というのは意外に重要です。実際の店舗・企業経営の場合も、初回に出した製品・サービスがそのままうまくいくことはほとんどなく、購入者の声フィードバックを受けての日々の改善、改良を重ねて、強い商品に仕上がって行くのと同じように、ホームページの運用管理も細かい修正を重ねていくことで強いサイトに仕上がって行きます。
ホームページの管理・運用に求められる能力
内容説明 | |
サイト所有者の要望や不満を聞き取り解決する能力 | サイト所有者(企業や店舗)の要望を聞き、意図していることを理解した上で、プログラマーやデザイナーに適切な指示が出せること。企業とホームページ管理会社のトラブルでもっとも多いのがこの点で基本的には管理を請け負っている担当者のコミュニケーション能力の低さが原因にあります。(もちろん依頼者の説明が足りないこともあります) 利用者の本意を理解しようとしない、理解できないため、依頼側も過大なストレスを抱えてしまいます。 |
サイト所有者の希望するデザイン修正やプログラム修正に柔軟に対応する能力 | サイトの修正にはデザイン部分、コーディング部分、プログラム部分などが関わってきます。サイトの管理者がこれら全てを完璧ではなくても良いので全体をある程度理解している必要があります。 フリーランスのデザイナー、プログラマー、営業マンがホームページ運用管理の担当者をしていると、自分の得意分野以外のことはよくわからないので、柔軟に対応出来ない、対応してくれない、必要以上に高額になるケースが多々あります。サイトの更新管理はすべてのことを浅くでも良いので理解している会社(人)が担当するべきです。 |
ホームページトラブル時にサーバーとコンテンツの問題を見分けて適切に処理できる能力 | 運用管理において、ホームページトラブル時の迅速な対応はとても重要なことです。ホームページとサーバーの両方に精通をしていなければなりません。特にハッキングや改ざんの場合は被害の拡大を最小限に食い止めて、復旧させる力が必要になります。 そのような時に「サーバーのことはよくわからない」ではホームページの管理運用は務まりません。また各人のメールアドレスもメールサーバーによって運用されていますので、ワードプレスなどのシステムが苦手な会社、サーバーが苦手な会社に更新管理業務は向いていないでしょう。 |
アクセスアップや販売増、問い合わせ増などマーケティング・経営者の視点 | 運用管理では、マーケティング・経営者の視点も大事になります。 サイト全体=イコール企業全体という枠組みの中で、例えば単なるデザイナー視点では枝葉の対応しか出来ず、根本的な改良はほど遠いものになってしまいます。サイトを企業そのものと捉えて経営者の視点で正しい方向性を見出していく能力が求められます。 ※巷にはさほどの実績も無いのに「マーケティング」を全面に出した輩のサイトが多数ありますのでくれぐれも注意しましょう。 |
ホームページの初期制作をおこなった会社にそのまま保守管理を委託しているケース、「作った会社が管理もおこなう」ことが理想です。実際、長く続いている制作会社は、上記のような双方の能力(初期制作の能力、運用管理の能力)を備えていることが多いのであえて変える必要はありません。
一方で、値段が安かったので制作だけを依頼したとか、友人知人のデザイナーに作ってもらったとか、本業がウェブ関連でない会社に依頼しているなどの場合は、ホームページの運用管理(ワードプレスのシステム、サーバー)に関するスキルを持っているとは思えないため、なんらかのタイミングで管理会社のを探しておいたした方がいいでしょう。
ホームページ制作会社といっても出身母体・系統はいろいろです。皆様の会社のホームページを管理している会社(人)はどのような系統でしょうか。「ホームページ制作会社の選び方」でもご紹介していますのであとでご覧下さい。
ホームページ管理会社・運用委託者の選択ポイント
お客さまにとって良いホームページ管理会社・運用委託者とはどのような傾向があるのでしょうか。
ホームページ管理会社を選ぶ時の大事なポイントは
どちらか一方ではなく「ホームページの制作実績」と「ホームページ管理実績」の両方の実績があることが大事です。
「制作実績」ばかりのところは、基本的に「納品にて取引完了志向」の会社で、お客さまサイトの保守管理に力を入れていない可能性があります。サーバーやプログラムなどが苦手で、デザインやコーディングを得意としている会社(人)はその傾向が強いです。
その会社のホームページ上に保守管理に関しての詳しい説明があるかどうかをチェックした上で、率直に「現在、何社くらいの会社の保守管理をおこなっているか」を聞いてみるといいでしょう。
逆に「サイトの管理」ばかりのところは、「制作に関する能力」や「デザインセンス」などのスキルが高くなく、プログラムの受託開発がメインで、管理をやっていたとしても軽微な修正だけをおこなっている会社に多いです。その場合、ページの追加やバナーの作成、メインビジュアル画像の作成など、デザインセンスを必要とする仕事は苦手で成果物もいまいちの可能性があります。
これは上記と似たような感じなのですが、
運用管理、保守管理の業務においてホームページトラブル時の迅速な対応はとても重要なことです。特にハッキングや改ざんの場合は被害の拡大を最小限に食い止めて、復旧させる力が必要になります。そのためにはサイトデザイン業務とワードプレスのシステム業務、サーバー業務の3つに精通をしている必要があります。この3つをおおまかにでも理解していないと、ホームページトラブルや何らかの問題を横断的に調査する時に進まなくなってしまいます。
「サーバーのことはよくわからない」「ワードプレスなどのシステムは苦手なので実は外注している」「システムは復旧出来るけどデザインは復旧できない」ではホームページの管理運用は務まりません。3つのうちで扱っていない分野、苦手な分野がある管理会社やフリーランスに更新管理業務は「あまり」向いていないといえるでしょう。
事業における「信用」は若干曖昧な言葉なので、捉え方にはいろいろありますが、まずはネットで検索をして悪評が無いかをざっと調べてみましょう。会社名で検索をした時に「営業電話」「しつこい」「トラブル」とか変なキーワードが出てくる会社は止めるべきです。あとは本格的にやるなら東京商工リサーチなどの機関で調べる方法もあります。(これは評判というより財務的にどうかという点です)
その他に「信用」の指標として、創業から何年が経っているかはとても重要です。日本の社会では起業してから5年後に残っているのは約50%、10年後に残っているのは20%とか5%、20年後に残っているのは0.3%などと言われています。統計数字によって多少の大小はあれど、いずれにしても創業から10年20年経っている会社というのは、それなりに誠実に仕事に向き合い、多くの顧客から支持を受けている証で、起業して数年の会社とは比べものにならない「信用度」であることがわかります。
お客さまの大事なホームページの運用管理を依頼、委託するのはせめて事業年度が10年以上経っている会社にすべきです。
また担当者(人)についての「信用」であれば、問い合わせをした時のメールの返事が早いかどうか、メールの文面はていねいでしっかりしているか、書いている文章にちゃんと説得力があるか、などでしょうか。特に管理会社とのトラブルで多いのは「メールの返事が遅すぎて嫌になる」です。基本的に人間というものは慣れてくると段々おろそか、遅くなる人が多くなります。ということは、初回のアクション時で返事が遅ければ将来の期待は全くもてないので辞めた方がいいでしょう。その他に「納期を守る」「言った約束を守る」なども重要なポイントですが、これはしばらく取引をしてから(管理委託をしてから)でないとわからないのでしょうがありません。
(これはフリーランスや個人事業だから駄目で、法人だから良いという話しではありません。)
仮にお客さまのホームページの更新管理を知り合いのフリーランスデザイナーに委託していた場合、順調にうまくいっている時は良いのですが、もしその人が病気や事故で急に入院することになってしまった時、コミュニケーションがうまくいかずトラブル気味になった時に、フリーランスや個人事業は一人でやっているので、代わりの人はいません。お客さまのホームページはストップしてしまいます。もしかしたら自分のネットワークで一時的に別の友人デザイナーに依頼する方法を取るかもしれませんが、でもそもそもホームページの保守管理業務とは「サーバーにアクセスする」「サイトを書き換える」という重大な権限を持っています。その大事な権限をいきなりお客さまの知らない人に知られても困ってしまうわけです。
たしかにフリーランスは事業の維持コストが低いため、発注費用も抑えられますし、気安く修正を依頼できるメリットもあります。またその人となりに好感が持てるので依頼したいということもあるでしょう。
それであればホームページの初期制作や軽微な修正はフリーランスへ依頼をして、サーバーやコンテンツセキュリティなどの基本的な更新管理業務は、担当者が入院しても他の社員が引き継ぐ「法人」が担う、というハイブリッド型の方が良いと考えます。
「ていねい」であること。これは継続的に保守管理を委託するにあたってとても大事なことです。
上記のメールや電話での対応姿勢に通ずる部分ではありますが、メールの文体や電話での話し言葉がていねいかどうかなどで判断をします。ていねいな人というのは、お客さまへのメールの返信一つ取っても、何度も文面を考えて、すぐに理解してもらえるように、気持ちよく読んでもらえるように配慮する心を持っています。受け取った相手がどう思うかを想像して仕事をしているのです。
一方、「ていねいでは無い人」というのは、基本的に何ごとにおいても説明不足であることが多く、お客さまに対して「誤解が無いようにちゃんと説明する」という考えが欠落していることが多いのです。いつも自分側のことしか考えていない人に多いパターンですね。
最初のうちは円満な関係なので良いのですが、そのうち少しでも何か起きると、とたんに一行二行だけの返事しか来なくなったり、書いてある意味がよくわからなくなったりします。実際にお客さまからの管理移管の相談で多いケースでもあります。
そもそも「ていねいでは無い人」というのは、仕事のやりとりをしていてもストレスを感じるので、初期の打診段階で少し違和感を感じたら、すぐに止めておいた方がいいでしょう。
最後に保守管理の重要性について
ホームページの運用管理業務はお客さまのホームページの裏方でサポートする重要な業務です。
企業会計における顧問税理士をイメージするとわかりやすいかもしれません。企業の顧問税理士は継続的、定期的な取引になります。その企業の本年や過去の売上や利益などを把握していて、税務に関する相談があった時には自身の経験や知識をもとにアドバイスをおこないます。定期的に自身で税務申告という作業をおこない、自分の担当外の場合はネットワークをいかして弁護士や社労士と連携して、顧問先の事業が円滑に進むようにサポートをするわけです。自社の売り上げや利益、経費などを教える訳ですから信用の無い人に任せる訳にはいきませんね。
同様に、企業ホームページにおける保守管理サポート会社も、お客さまのホームページの管理をおこない、アクセス増や販売増の相談に乗りながら、お客さまの忙しい時にはページ更新の作業代行をおこない、ホスティング事業者(サーバー)やドメインレジストリなどの外部事業会社と連携をとって、安定した運用に努めます。自社のサーバーにアクセスする権限、ホームページを更新する権限を共有する訳ですから、「信用」と「実績」のある会社に依頼するべきです。
などが業務です。
これは入居者が安心して住めるように裏方でサポートするマンションの管理業務とも似ています。マンションは管理会社が日常的に清掃や修繕、庭の手入れをおこない、一定周期で建物などの改善をおこなっていかないと、安心安全に住めないのはもちろん、建物も劣化して資産価値が下がってしまいます。管理者が不在のホームページ(作ったまま放置しているホームページ)は、商品の入れ替えを全くおこなわない小売店、新規メニューをまったく出さない飲食店と同じなのです。一応、存在はしているものの、繁盛店になることは難しいでしょう。
もしお客さまのホームページが「管理者が不在で公開したままの状態である」「管理者・委託している人はいるけどあまり知識が無い」「ていねいで無いので更新の依頼をしずらい」など、現在の体制があまり良くないのであれば、信用できる保守管理会社を探してみるべきでしょう。
弊社へのご相談、保守管理に関するお困りごとなどがございましたら、お気軽にご連絡ください。